PERT図とは? タスクの前後関係や依存関係を可視化するPERT図の構造と主要な要素を解説
PERT図(Program Evaluation and Review Technique)は、タスクの前後関係や依存関係を網羅的に可視化する手法です。
この記事では、新機能のリリースプロジェクトを例に、PERT図の構造と主要な要素を解説します。
- 1. PERT図の具体的な例 | 新機能リリース
- PERT図から読み取るべき重要ポイント
- PERT図の定用例 | 法務チェック
- PERT図を作成するメリット
- まとめ | PERT図作成の5ステップ
- PERT図を活かすための3つのポイント
1. PERT図の具体的な例 | 新機能リリース
各ノードがイベント、矢印が作業内容と期間を示します。
タスク構成例(単位:日)
- タスクA:要件定義 (3日)
- タスクB:デザイン作成 (タスクA完了後 / 5日)
- タスクC:バックエンド開発 (タスクA完了後 / 10日)
- タスクD:フロントエンド開発 (タスクB完了後 / 7日)
- タスクE:統合テスト (タスクCとDが両方完了後 / 4日)
- タスクF:リリース判定 (タスクE完了後 / 1日)

PERT図から読み取るべき重要ポイント
クリティカルパス(最長経路)
図の中で、その作業が1日でも遅れると、全体の納期が1日遅れるという経路のことです。

上記の例では以下の2つの経路が考えられます。
- 経路1 A → B → D → E → F = 3 + 5 + 7 + 4 + 1 = 20日
- 経路2 A → C → E → F = 3 + 10 + 4 + 1 = 18日
この場合、経路1(20日間)がクリティカルパスとなります。
プロジェクトを短縮したいなら、バックエンド開発(C)を急ぐよりも、デザイン(B)やフロントエンド(D)の効率化を考えるべき、という判断ができます。
バッファ
経路2は18日で終わるため、クリティカルパスに対して 2日間の余裕があります。
ということは、バックエンド開発が2日遅れても全体のスケジュールには影響しないということになります。
ボトルネックの特定
どの作業が全体の遅延に直結するかが一目でわかります。
リソースの最適化
余裕のあるタスクから、余裕のないタスクへ人員を移動させる検討ができます。
並行作業の可視化
同時に進められるタスク(上記のBとCなど)が明確になります。
PERT図の定用例 | 法務チェック
今回は、特に法務が厳格な新規規約の作成や、景品表示法の確認が必要なケースを想定します。
タスクリスト(法務特化版)
| ID | タスク名 | 期間 | 前提タスク | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| T1 | 仕様・訴求案の確定 | 2日 | 何を売るか、どう表現するかを決める | |
| T2 | 制作物作成(広告・LP) | 5日 | T1 | デザインやライティング |
| T3 | 法務下書きチェック | 3日 | T1 | 仕様確定段階での一次確認 |
| T4 | 法務最終確認 | 4日 | T2, T3 | 完成物に対する最終リーガルチェック |
| T5 | 修正対応 | 2日 | T4 | 指摘事項の反映(バッファとして計算) |
| T6 | 公開・入稿 | 1日 | T5 | 最終承認後のリリース |
PERT図の構造

法務チェック(T3)を制作(T2)と並行して走らせることで、最後に大きなNOが出るリスクを減らす構成です。
3. この図から見える戦略
クリティカルパスの特定
制作ルート
T1(2日) → T2(5日) → T4(4日) → T5(2日) → T6(1日) = 14日間
法務先行ルート
T1(2日) → T3(3日) → T4(4日) → T5(2日) → T6(1日) = 12日間
結果
制作(T2)が遅れると全体が遅れますが、法務最終確認(T4)は制作物と下書きチェックの両方が揃わないと開始できないため、ここが合流ポイント(マイルストーン)になります。
PERT図を作成するメリット
法務リスクの管理
もしT3(下書きチェック)を飛ばしてT4(最終確認)だけで済ませようとすると、T4で大幅な修正(T5)が発生し、期間が2日ではなく5日以上に膨らむリスクがあります。
これを手戻りによる遅延として可視化できます。
プロジェクトを円滑にするためのアドバイス
法務チェックをPERT図に入れる際は、以下の2点を盛り込むとさらに精度が上がります。
1. 差し戻しのループ
一度のチェックで通らないことを想定し、あらかじめ「修正→再確認」の期間を多めに見積もっておきます。
2. 外部要因の考慮
顧問弁護士や外部機関に依頼する場合、自社のコントロール外で時間がかかるため、そこを動かせない期間として固定します。
まとめ | PERT図作成の5ステップ
1. タスクの洗い出し(WBS)
プロジェクトに必要な全作業を分解してリストアップします。
ポイント
法務チェックやデバッグなど、見落としがちな待ちや確認の時間も一つのタスクとして数えます。
2. 依存関係の整理
どの作業が終わらないと、次の作業に入れないかを明確にします。
- 直列タスク Aが終わらないとBができない
- (例) 要件定義 → 設計
- 並列タスク 同時に進められる
- (例) デザイン作成とシステム設計
3. 所要時間の見積もり
各タスクにかかる日数を算出します。
楽観値、最頻値、悲観値の3つを出し、(楽観 + 4 × 最頻 + 悲観) ÷ 6 で期待値を出す手法もありますが、まずは現実的なバッファを含めた日数でOKです。
4. ネットワーク図の作成と計算
タスクを矢印で結び、開始から終了までの経路をすべて書き出します。
クリティカルパスの特定
最も時間がかかる経路を特定します。これがプロジェクトの最短期間となります。
スラック(余裕)の把握
クリティカルパス以外のルートに、何日の余裕があるかを計算します。
5. リソースの最適化
図が完成したら、マネジメントとしての判断を下します。
- クリティカルパス上のタスクに人員を増員するなどの遅延対策
- 不確実性の高いタスクをなるべく前倒しできないか等の検討
PERT図を活かすための3つのポイント
① 図にすることが目的ではない
図を作る過程で、チーム全員が何がボトルネックかを共通認識することが本当のの価値です。
② 法務や外部審査は最優先で組み込む
自社でコントロールしにくいタスクほど、早い段階でPERT図の合流地点に設定して、リスクを可視化します。
③ 定期的にアップデートする
プロジェクトが進み、1日でも差異が生じたらクリティカルパスが変わっていないか再確認します。







