数字や統計データの信頼性を見極める

ニュース記事や報告書、広告などで使われる統計データにおいては、その数字の信頼性を慎重に見極めることが重要です。出典元とサンプルサイズを確認する際の具体的な例を紹介します。

例1:アンケート調査のサンプルサイズの不備

記事の主張

「85%の人々が新しい製品Aに満足していると回答しました。」

確認ポイント

1. 出典元の確認

まず、このアンケート調査がどの機関または企業によって実施されたのか確認します。例えば、製品Aを販売している企業自身が調査を行った場合、結果にバイアスがかかっている可能性があります。

2. サンプルサイズの確認

満足度の「85%」という数字が、どのくらいの人数を対象にした調査から導かれたのかを確認します。例えば、

調査対象者がわずか 20人 しかいなかった場合、サンプルサイズが小さすぎるため信頼性が低いです。サンプルサイズが少ないと、偶然や個別の偏りが結果に大きな影響を与えます。

一方、調査対象者が 1000人 であればその結果はより信頼できる可能性が高いです。

しかし、次の要素も確認すべきです。

3. 対象者の選び方(サンプルの偏り)

調査の対象者が「製品Aをすでに使用している顧客」のみだった場合、新しい顧客や潜在的なユーザーの意見を反映していない可能性があります。この場合、母集団全体の意見を正しく反映しているとはいえません。


「85%」という数字だけを見てしまうと、製品Aが非常に優れているように見えますが、サンプルサイズが少なかったり、調査対象者が偏っていたりする場合、実際の満足度はもっと低いかもしれません。

例2:相関と因果関係の混同

記事の主張

「過去10年間で、インターネット使用率の上昇と共に犯罪率も増加している。したがって、インターネットの普及が犯罪の増加を引き起こしている。」

確認ポイント

1. 出典元の確認

このデータがどの機関(政府、大学、独立調査機関など)によって収集されたのかを確認します。また、犯罪率とインターネット使用率のデータが同じ地域で同時期に収集されたものか、時期や場所の一致を確認する必要があります。

2. サンプルサイズと調査対象地域の確認

データが全国規模なのか、特定の都市や小さな地域に限られているのかを確認します。例えば、地方の小さな都市でのデータを全国規模の傾向と主張している場合、誤解を生みやすくなります。

3. 相関と因果関係の区別

インターネット使用率の増加と犯罪率の増加が同時に起きていたとしても、因果関係があるとは限りません。この場合、第三の要因(例:経済的要因、法整備の変化など)が犯罪率に影響している可能性を考慮するべきです。


単に「二つのデータが増加している」という事実だけでは、因果関係を証明することはできません。記事の主張には慎重になる必要があります。

例3:広告における統計の信憑性

広告の主張

「ダイエットサプリBを使った女性の80%が1ヶ月で体重を平均5kg減らした!」

確認ポイント

1. 出典元と調査主体の確認

この調査がどのような機関によって行われたかを確認します。例えば、サプリメントの販売会社自身が調査を行った場合、バイアスがかかる可能性があるので注意が必要です。

サンプルサイズの確認

調査に参加した人数を確認します。例えば、参加者が 10人 程度しかいない場合、「80%」という数値は信頼性が低くなります。たまたま少数の人が大きな成果を出した可能性が高いです。

調査条件の確認

さらに、このダイエットサプリを使用した以外に、食事制限や運動の指導など、他の要因が含まれていないかを確認する必要があります。もし他の要因が併用されていた場合、サプリだけの効果ではないことになります。


「80%」という数字だけでは、サプリの効果を過大評価してしまう可能性があります。調査の方法や条件を詳細に確認することで、その数字の信憑性を適切に評価することが重要です。

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